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包装の簡便化

1957年には、即席で作れるインスタント食品、1967年にはレトルト系の食品、1987年には電子レンジ1つで調理可能な食品というように、食品が進化した背景には、包装の簡便化の進化があります。

コンビニのおにぎりは中身が湿気ってしまわないよう海苔・ご飯・具材が別々に包装されていながら内容物が取り出しやすい開封性を、湿気りやすい食品などには一度開封しても中身が湿気ったり異物が入らないようチャックなどで閉じることができる再封性を、

冷凍食品やレトルト食品などは電子レンジや熱湯に入れてそのまま加熱処理できる耐熱性を、薬を飲む際に重宝されているカプセルやフィルムなどは包装する素材そのものを食べることができる可食性を活用しています。

最先端技術と包装業界の未来とは

店内で、NFCを活用している例もあります。NFCチップが装備されている小売店で、店内のビデオにスマホをかざせば、例えば、コマーシャルの中の誰かが着用しているズボンの情報がすぐに映し出されます。そしてそれがどこで売られているかをスマホで知ることができます。カメラが映し出したものを特定するスキャナーもあります。ある人が着ているドレスにカメラの焦点を合わせると、どこで売られているのか判るのです。Googleの作ったアプリです。イメージ認識のアプリで、スマホやタブレットのカメラで撮影した画像、文字、バーコードやQRコードなどを分析して、関連する情報をウェブから検索することができるのです。また、パッケージにカメラの焦点を合わせると、その中身が判るというものもあります。容器をかざせば中身も判るアプリもあります。

量り売りビールと近未来型店舗

アメリカのシアトルにはビールの量り売りをするドラッグストアがあります。地ビール醸造所もあり、若者を中心としたおしゃれな町並みにあるその店では、お客は自分の食べ物持参で、できたてのビールを立ち飲みしながら歓談する光景が見ることができます。地元密着のドラッグストアは、インストアケアクリニックがあります。問診医のもとで血圧や血糖値を計ったり、わずかな料金で骨密度やコレステロールを計ったりして、健康相談に答えてくれます。店内には独自のフレーバーがあるアイスクリームブランドの特設カウンターがあります。店を出るとアマゾンの宅配用コインロッカーも備えていて、お客は自分の暗証番号でいつでも注文の品物を受取ることができます。地ビールコーナーには、地元で評判のビールをガラス容器入りで販売しています。大手量販店とは違う味わいがあります。

アクティブバリア包装

包装食品の品質が下がるのは、製造される工程途中や、保存されている間に酸素に触れてしまうことが最も大きな要因と言えるようです。包装されているものが劣化していく過程に重要な係わりあいを持つ酸素は、①内容物に含まれているもの、②充填した時、容器に紛れ込んでしまったもの、③製品を保存している最中に、少しずつ包装内に入ってきてしまうものといったものが考えられるでしょう。こういった要因を少なくするためには、酸素ガスを防いでくれる包装材料を用いることが最善策と言えるでしょう。内容物を充填した時、容器内に入ってきてしまう酸素を少なくする方法として、窒素ガスなどを利用したガス置換包装という技法が効果的かもしれません。プラスチック容器では、外部より酸素が入ってきてしまいますが、金属やガラス容器は酸素の侵入はほぼゼロと言えるでしょう。酸素吸収性の容器を用いれば、外部からの酸素侵入を抑えるだけでなく容器内の残存酸素をも吸収除去するので、初期の酸素濃度よりも容器内を低酸素にすることができ、この特性が、酸素吸収性容器の最大の特徴と言われています。脱酸素剤封入包装も、包装系に必要な酸素吸収能力をもつ脱酸素剤を使用し、適切なガスバリア性包材を選択すれば、酸素吸収性容器と同等の酸素吸収特性が得られます。現在、脱酸素剤封入包装は、菓子類、餅、米飯類、加工食品、調味料、晴好品、生鮮食品など広い範囲で適用されていますが、当技法は飲料やレトルト食品への適用は困難です。そこで、アクティブバリア包材を使用すれば、脱酸素剤を封入する作業が簡略化でき、飲料や液体食品・調味料、レトルト食品への適用へと拡大できる点で、脱酸素剤封入包装とは違ってきます。代表的なアクティブバリア容器では、容器外より内部に侵入する酸素が容器壁材料により吸収され、その結果、内部にまで透過する酸素が減少し、容器としての酸素バリア性が向上します。一方、容器内に残存している酸素が容器壁に吸収され、内部の酸素濃度が低くなります。酸素吸収剤では、酸素と化学的に反応して酸化物となる物質が使用されており、内容物の劣化も酸素との化学反応であり、一方酸素吸収性容器では内容品の酸素消費速度より、容器による酸素捕捉速度が速いことが重要となります。このような化学的方法による酸素吸収性容器では容器としての必要特性のほかに、①酸素捕捉速度が大きい②酸素捕捉可能量が大きい③酸素捕捉開始機構が付与可能といった条件が必要となります。酸素捕捉開始機構すなわちトリガーは、容器を使用する前の保管中における失活を防止するために重要です。

時代の要求は頑丈な包装と開け易い包装

包装技術の表と裏の関係ともいえる、頑丈な包装と開け易い包装。今この開け易い包装技術(易開封技術)が注目されています。当初の食品包装材の主流と言えたのがポリセロと呼ばれていたセロファンにポリエチレンをラミネートした包材。ところが包材のガスや光の遮断性向上でいきおい開封のしやすさが犠牲となってしまっていました。頑丈さゆえに人の力では袋が破れずやむなくはさみで、という場面がよく見受けられました。消費者からは当然嫌われてしまうため、包装メーカーはいろいろ試行錯誤を繰り返していたと言われています。その解決策の一つが方向性フィルムであると言われていました。そのような中で生み出されたのが易開封フィルム。これは延伸されたプラスチックは、引っ張る方向次第で直線的に簡単に裂くことが可能になるという性質を利用したもの。まさに易開封包装にうってつけの包材でした。このような易開封フィルムをベースとなるフィルムとヒートシール材の間に使用する前提で、そのほか切り裂いた後にひげ状の残りが出ないとか、どこからでも切れるなどの解決しなければならない課題もみえてきました。このような課題を解決すべくメーカーでは各種の素材が生み出されています。まさに注目の技術分野と言っていいかもしれません。

包装でのラップフィルムについて

家庭で使うラップフィルムは食品を包んだり、食べ物をのせたお皿にかぶせたりします。手で簡単に伸ばせて包めてということがラップフィルムに求められます。厚さは10μm前後の非常に薄いフィルムです。これが破れたり穴があいたりしないことはとても大事です。また重ねただけで簡単にくっつく自己粘着性というのも重要な特性となります。ラップフィルムには、4種類に大きく分けられます。外観で区分けはできません。一つはポリ塩化ビニリデンフィルムで、酸素、水蒸気、匂いなどの透過が少ないということと、耐熱性があるので電子レンジでそのまま加熱をすることができます。また、ポリメチルペンテンの特徴として、酸素透過性や匂いの透過性が高いことです。そして電子レンジで使える耐熱性があることです。また、低密度ポリエチレンやポリ塩化ビニルがあります。価格が安くて、加工しやすいということで、多く使われています。スーパーの店頭で肉や魚、野菜などを包んだラップフィルムと似たフィルムのことをストレッチフィルムといいます。ストレッチフィルムというのは、業務用です。これは器具や機械を使って包装するので、15μm以下という厚さでラップよりも丈夫です。伸びやすさもよりあって粘着性の強いフィルムとなります。材質は低密度ポリエチレン製とポリ塩化ビニル製が大部分となります。熱で重ねた部分を閉じるのが一般的となります。ポリ塩化ビニリデンのラップフィルムは、塩素を含んだ家庭用プラスチック製品がダイオキシン問題で売れなくなったときでも、販売量はあまり減少しませんでした。このことは、包装業界では、「本当に性能のよいものは風評被害にもあわない」の良い例となっています。

プラスチック製レジ袋と「海洋汚染」

プラスチックごみ問題が「海洋汚染」につながっていることを知る上で、皆さんの身近にあるプラスチック過剰包装やプラスチック製レジ袋の存在価値に変化がみられるかもしれません。世界的規模で広がりをみせるプラスチックごみ問題が招く海洋汚染は、日本国内におけるレジ袋有料化などの取組みだけでは、解決できるような簡単な問題ではなく、世界各国の国際的な協力を必要とする地球全体に課された難題となっているようです。プラスチックごみは、私たちの活動領域のなかから廃棄された人工物のごみであり、自然界から生み出された汚物ではありません。化学的な物質からなるプラスチックは、自然界のなかで微生物などによって分解されることが難しいと言われております。自然界のなかでの循環サイクルに諸問題を抱えているプラスチックは、皆さんの生活ごみとして廃棄され、河川に辿りつくことからそのまま海洋に流れ込み、海洋を漂いながら微生物に分解されることなくマイクロプラスチック化されてしまっている現状があるようです。マイクロプラスチックは、海洋生物たちがプランクトンや小魚などと誤って誤飲してしまうといった問題につながってしまい、また、皆さんが日常生活のなかで使用したスーパーのレジ袋が、そのまま海洋を漂うことで多くの海洋生物がレジ袋をクラゲなどに見間違えることで捕食してしまうようなのです。イルカやクジラの死がいから、おびただしいほどのレジ袋が発見されることも最近のニュースでは珍しいことではなくなってきているようなのです。

レトルト食品の袋を商用化したのは日本

食品、特に水分を多く含んだものは一日おいてしまうと腐るもの、というのが常識と言われていました。そこでそれを防がなければいけないもの(保存食など)には防腐剤を入れてしのいでいたというのが現実でした。それが何と常温で一年以上もたせることができる、という鳴り物入りで出回り始めた「レトルト食品」は当時衝撃的でした。原理をわかっていない当時の人の中には、どれだけの防腐剤が入れてあるのかと、メーカーに問い合わせされたという話も聞かれた程です。それくらい、モノを腐らないようにするには防腐剤を入れるしかない、というのが常識の時代でした。一口に物が腐るのを防止するといっても、方法には二つあると考えられています。一つが腐敗させる細菌が生き続けられない状況を作ること、いわゆる冷凍や乾燥といった方法です。もう一つが、その細菌自体をなくすこと、というもの。前者の冷凍あるいは乾燥させることは従来から行われていた方法で、それを実現するのが冷蔵庫であり、食品加工技術でした。細菌をなくしてしまうという方法も缶詰や瓶詰で実現されてはいましたが、フレキシブルという容器の制約が達成できませんでした。それがレトルト食品によって一気に身近なものとなっていき、今ではなくてはならない食品の一分野を形成するまでに発展していったのです。もともとレトルト食品は20世紀半ばアメリカで開発されたもので、アポロ11号での月面探索時牛肉などの5種類の食材を持って行ったことでよく知られるようになったものですが、この技術を商用化したのは日本人と言われています。お馴染みなのがこの包装を使ったカレールーでしたが、今では数百種類に及ぶレトルト食品があると言われています。カップ麺とともに日本が世界に誇れる食品包装技術と食品加工技術のタイアップと言えるのではないでしょうか。

世界で問題視されるプラスチックごみ問題とは

最近、興味を覚えたプラスチック製品に関する専門書などを読み漁ってみますと、使い捨てのペットボトルをご自宅などで洗って再利用することは、私たちの健康維持のためには適さないなどといったような文献を目にすることがあります。プラスチック製品は一言で述べられないほど様々な種類のものがあり、さらに各製品に使用されているプラスチック成分の中には、私たちの人体には安全とは言い切れないものなどもあるようです。そのようにプラスチックに使用される化学的な物質に対しての正しい知識が、私たちにとっては、今後必要不可欠なものとなってくるのではないでしょうか。身近なプラスチック製品の乱用を防ぐためにも、実際に私たちの身の回りに使用されている「プラスチック」という素材の割合を見ていきますと、日用品のありとあらゆる製品にプラスチック素材が使用されていることが浮き彫りになってきます。昨今、学生などが頻繁に声を上げている菓子製品の個包装問題などにおいても、たとえばスナック菓子を持参して海に遊びに行くことで、スナック菓子を楽しく海辺でワイワイ食べることにはごく当たり前の光景のように映りますが、そのパッケージとなるプラスチック個包装のゴミが風にさらわれて、正しく破棄されずに、そのまま海洋に破棄されてしまうことで「マイクロプラスチック」などを生み出しかねないようです。

囲炉裏というやすらぎ

「囲炉裏」のある暮らしは、コンロ、エアコン、室外機、除湿器、加湿器などの電気機器を数多く取り揃え、さらには大量の電気やガスエネルギーを必要とする暮らしから比較すると、「薪」などのごく小規模なエネルギー資源を消費することで、大きな生活エネルギーを生み出してくれていたようです。昨今、世界各地で問題視されているエネルギー資源の大量消費は、「囲炉裏」のような万能な住宅設備を生み出すことで解決に向かう可能性も否定できません。最近のニューストピックとして、多くのメディアが配信している、「お菓子個別包装問題」など、私たちが暮らしのなかに抱えている諸問題は、もしかすると古来からの日本人の暮らしのなかにヒントが隠されているかもしれません。日本史の教科書などに掲載されている「囲炉裏」とともに暮らす当時の人々の光景は、必ずいってよいほど家族や友人たちの姿が「囲炉裏」の周りにみられます。囲炉裏を囲みながらお茶を飲んだり、食事をしたり、暖をとったり、会話をする人々の姿は、TVやスマホ、PCモニターなどに向かう人々とは異なる表情を浮かべているようでなんだか羨ましくも感じます。